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「サクセム(SUQCEM)」とはどのような材料ですか?
「サクセム(SUQCEM)」は、SUper high Quality CEmentitious Materialの略名で、日本国内の材料と技術で開発・実用化された超高強度繊維補強コンクリート(UFC1))です。
材料の特性値はそれぞれ、圧縮強度180N/mm2以上、ひび割れ発生強度8.0N/mm2以上、引張強度8.8N/mm2以上で、UFC指針2)の規格3)を満足する優れた材料です。サクセムの材料特性、耐久性およびUFC指針との整合性について、土木学会で審議頂いた結果、平成18年11月に技術評価証を受領しました。

1) UFCは、「超高強度繊維補強コンクリート」の英訳である「Ultra high strength Fiber reinforced Concrete」の略称;
2) 超高強度繊維補強コンクリートの設計・施工指針(案)、土木学会、平成16年3月
3) 材料の特性値がそれぞれ、圧縮強度150N/mm2以上、ひび割れ発生強度4N/mm2以上、引張強度5N/mm2以上の、繊維補強を行ったセメント質複合材
サクセムはどのような材料で構成されていますか?
サクセムは、水、サクセムセメント、サクセム用骨材、サクセム用混和剤、サクセム用補強繊維から構成されます。
サクセムセメントは、ポルトランドセメント、ポゾラン材およびエトリンガイト生成系混和材をプレミックスした工場製品です。
サクセム用骨材は、所定の強度やフレッシュ性状を満たすことが確認された骨材です。
サクセム用混和剤は、サクセム専用の高性能減水剤です。
サクセム用補強繊維は、引張強度2000N/mm2以上、直径0.2mmの鋼繊維で、長さ15mmと22mmの2種類を適切な比率で混合しています。
サクセムはどのような部材に適用できますか?
サクセムは、圧縮強度だけでなく引張強度も高く、鉄筋が不要なので、プレストレストコンクリート構造や薄肉のプレキャストパネルに使 用する事例が多くなっています。サクセムの特徴と、その特徴を活かした施工例を以下に示します。

≪サクセムの特徴≫
①高い圧縮強度を有するため、超高強度部材が実現できる。
②高い引張強度とじん性により、鉄筋を配置する必要がない。
③圧縮強度が高く、鉄筋が不要なため、部材を極限まで薄くできる。
④流動性が高く、自己充てん性を有するため、薄い部材や複雑な形状の部材でも製作可能である。
⑤部材の軽量化により、架設費や基礎の建設費が低減できる。
⑥耐久性が極めて高く、ライフサイクルコストを低減できる。

≪施工例≫
①PC道路橋 : 支間長12.440m(アクアタウン橋梁)
②PC歩道橋 : 支間長30.000m(リバーサイド千秋連絡橋)
③PC水路橋 : 支間長22.950m
④PC床版 : 標準寸法7.820m×3.530m(羽田空港D滑走路桟橋部床版)
⑤プレキャストひさし・ルーバー : 最小厚25mm
サクセムの現場打ちは可能ですか?
サクセムは、プレキャスト製品への適用を基本としていますが、現場打ちの事例もあります(橋梁本体、橋梁間詰め部)。
通常の生コン工場での製造、アジテータ車での運搬、バケットでの打込み、仕上げといった一連の作業を、フレッシュ性状の変化も少なく施工できます。ただし、現場での養生方法には配慮が必要です。その一例が、部材の温度が60℃となるような雰囲気温度で7日間の給熱養生を行う方法です。これ以外の養生を行う場合には、事前の確認が必要です。
サクセムを用いた構造物の耐用設計年数は何年ですか?
サクセムは物質移動に対する抵抗性に優れており、サクセムを使用した構造物の耐用設計年数は、100年を標準としています。
例えば、最小かぶり20mmを確保すれば、厳しい環境下においても塩化物イオンが鋼材に達するまでに、計算上300年を要します。
サクセムの品質管理項目にはどのようなものがありますか?
サクセムの標準的な品質管理項目は、材料の計量値、フレッシュコンクリートの状態(繊維の分散)、コンシステンシー(フロー)、空気量、コンクリートの練上がり温度、圧縮強度、ひび割れ発生強度、引張強度です。
サクセムの練混ぜはどのように行えばよいですか?
練混ぜ手順・時間の目安を以下に示します。ただし、練混ぜ時間はミキサの容量・仕様によって異なります。ミキサの負荷値と目視による確認で、必要に応じて延長・短縮して下さい。

【実機ミキサの場合】
①空練り30秒(サクセムセメント+骨材)→②水投入(混和剤含む)→③練混ぜ4~8分→④繊維投入○分→⑤練混ぜ3~6分→⑥排出(○分:繊維の投入方法により異なります。)
サクセムの養生はどのように行えばよいですか?
サクセムの養生には、一次養生と二次養生があります。
一次養生は、5℃以上、40℃以下を原則としています。一次養生の時間に決まりはありませんが、一次養生を終了する強度の目安は、脱型時は14N/mm2以上、プレストレスを導入する場合は、導入される応力度の1.7倍以上で、かつ30N/mm2以上です。
二次養生は85℃で20~24時間の蒸気養生を基本とします。
養生温度の管理は、基本的には雰囲気温度管理でかまいません。
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